公開日:2022.11.28 更新日:2022.11.28
円形脱毛症とAGAとの違いについて解説します
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円形脱毛症とAGAの違い
円形脱毛症とAGAでは、脱毛が発症する対象や毛髪の抜け方などに大きな違いがあります。脱毛症の治療では、まず自身の脱毛がどちらのタイプに該当するか把握することが大切です。ここでは円形脱毛症とAGAの違いを解説します。
発症対象の違い
1つ目の違いは脱毛の発症対象です。円形脱毛症は男女問わず、子供から大人まで発症する可能性があります。これは円形脱毛症の発症要因が主に免疫機能の異常と考えられるためです。 対してAGAの発症対象は発症者の多くが男性です。
また、AGAの発症年齢には個人差がありますが、子供が発症することは稀です。これはAGAの発症が男性ホルモンの分泌に起因するためであり、身体が成熟した成人男性であれば誰でも発症する可能性があります。
毛髪の抜け方の違い
2つ目の違いは毛髪の抜け方の違いです。円形脱毛症は、その名称のとおり特定部位の毛髪が円形(もしくは楕円形)にごっそりと抜け落ちます。脱毛範囲の境界がはっきりしていることも特徴です。
反対に、AGAの脱毛範囲は頭部全体であり、特定部位に集中して極端な脱毛が起こることはありません。頭頂部や前髪の生え際など薄毛が進行しやすい部位はあるものの、基本的には毛髪全体で脱毛が進行していきます。
抜け毛の進行速度
3つ目の違いが抜け毛の進行速度です。円形脱毛症は2~3日の間で急速に症状が進行します。その進行の速さから本人が「髪の毛が薄くなった」と感じる期間はほぼありません。本人も気付かないうちに円形脱毛症を発症しているケースもあります。
一方、AGAは数年単位の長い年月をかけて徐々に進行していく脱毛症です。初期症状では「以前より髪が薄くなったかもしれない」程度の認識で済ませてしまうこともあります。AGAは進行すると脱毛範囲が広がってしまうため、治療に多くの時間を費やします。症状に疑いを持った時点で早めに専門医療機関へ相談しましょう。
円形脱毛症の特徴と原因
円形脱毛症とは、その名称のとおり一部の毛が円形や楕円形に抜け落ちてしまう脱毛症です。その多くは治療により1年以内の完治が見込まれますが、脱毛の範囲によっては長期化する可能性もあります。
円形脱毛症の特徴
円形脱毛症の主な特徴は以下のとおりです。
● 毛が生えている部位の一部が円形や楕円形に抜け落ちる
● 脱毛症状の境界がはっきりしている
● 毛髪だけでなく全身の毛で発症する
● 老若男女誰でも発症する可能性がある
円形脱毛症は、一部の毛が円形や楕円形に抜け落ちてしまう脱毛症の総称です。脱毛の進行速度が速く、わずか2、3日で地肌が見える程の毛が抜け落ちてしまいます。そのため、円形脱毛症は本人に自覚症状がない場合も多く、他人から指摘で初めて症状に気付くことも珍しくありません。
また、円形脱毛症は複数個所で同時に脱毛が進行するケースもあり、複数の脱毛部位がくっついて広範囲の毛が抜け落ちてしまう症例も見られます。円形脱毛症は一般的に軽度な脱毛症状だと思われがちですが、症状が進行すると毛髪以外の部位に広がってしまう可能性もあります。不自然な抜け毛は円形脱毛症の可能性がありますので、軽視せずに専門医療機関へ相談しましょう。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症が発生するメカニズムは未だに不明な点も多く、はっきりとした原因はわかっていません。現在のところ、円形脱毛症は以下の3つが主な原因と考えられています。
● 自己免疫疾患
● アトピー素因
● 遺伝
自己免疫疾患
円形脱毛症の原因として有力視されているのは「自己免疫疾患」です。自己免疫疾患とは、人体の免疫機能の乱れにより正常な細胞を誤って攻撃してしまう状態を指します。自己免疫の異常により正常な毛根が攻撃された結果、その部位の毛が抜け落ちてしまうのです。
なお、「ストレスで円形脱毛症になった」とよく言われますが、ストレスや疲労が直接的に脱毛に作用する医学的根拠はありません。ストレスや疲労はあくまで自己免疫疾患の原因であり、円形脱毛症に対しては間接的要因と考えられます。
アトピー素因
アトピー素因とは、アレルギー性の鼻炎、皮膚炎、気管支喘息などアトピー性疾患の既往歴のことです。「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、円形脱毛症患者47例中29例がアトピー性疾患を合併し、また円形脱毛症患者800例中187例でアトピー性皮膚炎を合併していたという報告が確認できます。(※1)
上記の報告からも円形脱毛症とアトピー素因は関連性が高いと考えられていますが、具体的にどのように作用しているのかは判明していません。少なくとも、過去の統計からアトピー素因を持つ人は円形脱毛症を発症するリスクが高いと考えられます。
※1)出典:公益社団法人 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf (参照2022-11-24)
遺伝
遺伝も円形脱毛症の発症と高い関連があると考えられる原因の一つです。同じく「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」の記述を参考にすると、最新の大規模学術調査では円形脱毛症患者の8.4%に家族内発症が認められ、また親等が近いほど発症率が高まるという報告が確認できます。(※2)
円形脱毛症と遺伝の関連についても現在のところ明確な医学的根拠がありません。しかし統計結果からも、円形脱毛症の発症において遺伝は見過ごすことができない要因と考えられています。
※2)出典:公益社団法人 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」|公益社団法人 日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf (参照2022-11-24)
AGA(男性型脱毛症)の特徴と原因
AGAは男性型脱毛症と呼ばれ、その名のとおり成人男性に多く見られる脱毛症状です。男性ホルモンの乱れが発症に関係していると考えられています。AGAは進行性の脱毛症状であり、放置すると徐々に薄毛が進行してしまうため、早めの対策・治療が重要です。
AGAの特徴
AGA(男性型脱毛症)の特徴としては以下のものが挙げられます。
● 男性ホルモンに起因する脱毛症
● 発症者の多くは成人男性
● 男性であれば誰でも発症する可能性がある
● 加齢と共に発症率が上がる
● 進行性の脱毛症であり、髪の毛が徐々に薄くなっていく
AGAはいわゆる加齢にともなう薄毛のことです。成人男性であれば誰でも発症する可能性がありますが、発症時期や進行速度には個人差があり、早ければ20代で発症する場合もあります。 また、AGAは何年もの時間をかけて徐々に薄毛が広がる進行性の脱毛症です。
初めのうちは「まだ大丈夫」と思っていても、症状が進むと生え際の形が変わったり、つむじが広がって見えたりして、他人の目にもはっきりと分かるようになってしまいます。円形脱毛症と同様、症状に疑いを感じたら早めに専門の医療機関を受診しましょう。
AGAの原因
AGAによる脱毛を促すのは毛髪に含まれる「DHT(ジヒドロテストステロン)」と呼ばれる物質です。AGA患者から抜け落ちた毛髪には通常量も多くDHTが含まれていることが分かっています。 DHTは抜け毛を促す脱毛因子「TGF-β」を発生させる要因であり、毛髪中のDHTが多くなると毛髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまいます。これがAGAのメカニズムです。
なお、毛髪中のDHTは、男性ホルモンの一種「テストステロン」と男性らしい身体づくりに必要な酵素「5αリダクターゼ」が結合して生成されます。そのため、加齢やその他の要因によってホルモンバランスが乱れるとテストステロンの過剰分泌が起こり、AGAを引き起こしてしまうのです。
また、毛髪に含まれるDHTの量は個人差があり、遺伝的要素も大きいと考えられています。直系の親族にAGAの人がいる場合、その子孫もAGAを発症するリスクは高いとみて良いでしょう。
円形脱毛症とAGAの治療方法
円形脱毛症とAGAの代表的な治療法を紹介します。それぞれ適切な治療法が異なりますので、症状を改善したい場合は自身で判断せずに専門医の指示に従いましょう。
円形脱毛症の治療方法
円形脱毛症は、軽微な症状であれば自然治癒も可能です。しかし、自然治癒による改善が見込めない場合や、重度の円形脱毛症の場合は主に以下の2つの治療法が用いられます。
● ステロイド局所注射
● 局所免疫療法
ステロイド局所注射
「ステロイド局所注射」は、炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを脱毛斑に注入する治療方法です。本治療は高い発毛効果が見込めますが、ステロイドの副作用があるため子供には使用できません。
局所免疫療法
局所免疫療法は、脱毛部位に人工的に炎症やかぶれを引き起こす薬品を塗布し、異常が生じた免疫機能を正常に戻すことを試みる治療方法です。本治療は主に脱毛が広範囲にわたる人に対して用いられます。
ただし、局所免疫療法は副作用が強く、アトピー性皮膚炎などを併発している方は一時的な症状の悪化に注意が必要です。また、日本では局所免疫療法の保険適用が認められていないため、自費診療となります。
AGAの治療方法
AGAの治療では、定期的に院し、専門医療機関内服薬や外用薬で治療していく方法が一般的です。AGAの治療薬としては、血行促進効果により発毛を促す「ミノキシジル」が多く用いられます。
なお、AGAには市販の育毛剤も多数ありますが、それらの多くは医薬部外品であり治療目的というよりも防止・衛生を目的に作られたものです。また、AGAの発症・進行には食事や睡眠などの生活習慣も深く関わっていると考えられるため、専門医療機関での治療をおすすめします。
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