公開日:2023.08.02 更新日:2024.10.31
女性の薄毛“FAGA”って何?原因や対策・治療方法と合わせて解説します
女性の薄毛であるFAGAは、主に女性ホルモンの分泌量の低下が要因で発症します。FAGAは進行性の疾患で症状が進むにつれ頭髪が全体的に細く薄くなるため、早期治療がなにより大切です。 本記事では、FAGAの原因や症状、治療方法を解説します。
Contents
FAGAとは女性に見られるAGA型の薄毛のこと
女性の薄毛は女性型脱毛症FPHL(female pattern hair loss)と総称されますが、この概念が出来たのは比較的最近になります。そのうち比較的見られるものとしてFAGAがあります。 FAGAとは、Female Andro-Genetic Alopeciaの略称で、女性男性型脱毛症と呼ばれています。AGAが男性型の脱毛に対し、FAGAは女性に見られる男性型他タイプの脱毛症の名称です。
AGAとFAGAの違い
FAGAは男性のAGAとは症状の出方や発症時期に違いがあります。AGAは髪の毛が太く育たず、前額部の生え際や頭頂部など局部的に薄毛が進行していく症状です。 一方、FAGAでは頭頂部を中心に薄毛が進行し、頭髪全体のボリュームが少なくなっていきます。
また、AGAは思春期以降の早い段階で発症することが多いものの、FAGAは成人期以降・壮年期に発症することが多く発症時期も違いの一つです。
FAGAの発症メカニズム
FAGAは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下することで発症します。それにより、相対的にAGAの原因であるアンドロゲンの分泌が促進されるのです。 エストロゲンの分泌量が低下する主な原因には、加齢や自律神経の乱れなどが挙げられます。女性ホルモンは20代後半がピークであるため、若いうちから対策することをおすすめします。
また、過度なストレスや睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こすでしょう。日常的にストレスを溜め込まず、睡眠をしっかりと取ることが大切です。
FAGAを懸念すべき症状
FAGAは頭髪が全体的に薄くなる症状が特徴です。そのため、髪のボリュームがなくなってきたり、ハリやコシがなくなってきたりしたときはFAGAの可能性があります。 また、髪の毛が細くなる、抜け毛が増える、頭頂部の地肌が気になるなどもFAGAの代表的症状の一つです。
FAGA以外が疑われる薄毛・脱毛の症状
全体ではなく一カ所だけ10円玉程度の脱毛があるなら、円形脱毛症の可能性があります。また、髪を結ぶことが多く、分け目や額などに脱毛が見られるなら牽引性脱毛症が疑われます。 他にも、フケや痒みを伴うならひこう性脱毛症 、皮脂の過剰分泌を伴うなら脂漏性脱毛症がそれぞれ疑われるため、注意深く症状を観察しましょう。
FAGAの進行パターン
FAGAの進行パターンは、以下の3つが知られています。それぞれ、特徴を解説します。
● ルードウィッグ型
● クリスマスツリー型
● ハミルトン型
1. クリスマスツリー型
クリスマスツリー型とは、生え際から頭頂部にかけて薄毛が進行し、頭頂部に向かうに従い薄毛部分が細くなる症状です。地肌がツリーのように見えることも特徴です。オルセン型と呼ばれることもあります。 FAGAの症状では少ないものの、生え際から薄くなるため気が付きやすいタイプです。
2. ルードウィッグ型
ルードウィッグ型は生え際の後退はなく、頭頂部から後頭部の範囲にかけて頭髪が薄くなる状態で、FAGAの中でもとても多い症状です。ルードウィッグ型の中でもさらに進行度に応じ、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型に分類することもあります。初期段階では気付きにくく、分け目の薄さや、人からの指摘で発覚するケースも多くあります。
3. ハミルトン型
ハミルトン型とは、左右の額の生え際が剃り込みを入れたように脱毛が進行する症状です。男性のAGAとも似ており、正面から見るとM字に近い状態で進行します。
FAGAを引き起こす4つの原因
FAGAは女性ホルモンの一種、エストロゲンの分泌量低下によるホルモンバランスの乱れが原因と考えられています。他にもFAGAの原因と考えられる理由と合わせて解説します。
1. 加齢
一般的に、女性ホルモンは20代後半をピークに徐々に減少していきます。(※)さらに閉経に伴って女性ホルモンの分泌量が急激に減少することで、顔のほてりやのぼせ、発汗などの症状が現れるようになります。(※) 女性ホルモンの分泌が少なくなるこの時期は、髪質の変化や薄毛などのFAGAを発症しやすいです。
※出典:働く女性の心とからだの応援サイト. 「女性はライフステージごとに女性ホルモンが大きく影響する?!」. https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/lifestage.html
※出典:e-ヘルスネット. 「更年期障害」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html
2. 自律神経の乱れ
自律神経の乱れによって女性ホルモンが低下すると、若い世代であってもFAGAを引き起こします。過労やストレスは自律神経を乱す原因です。(※)
また、生活習慣の乱れもFAGAの間接的な原因となり得ます。 例えば、偏った食生活や睡眠不足、運動不足などが原因の血行不良、飲酒・喫煙などです。
※出典:e-ヘルスネット. 「自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
3. 遺伝
FAGAはAGAと同様に、遺伝も関係があると考えられています。FAGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)は、5αリダクターゼの活性の高低により発現の仕方が変わってきます。 そのため、近親者にAGAやFAGAの人がいれば、FAGAを発症する可能性が大きくなります。
4. 妊娠・出産
妊娠や出産もホルモンバランスが大きく変動することから、薄毛が発症しやすくなります。妊娠や出産では女性ホルモンの値が上昇したあと急激に減少します。(※)この女性ホルモンの乱れがヘアサイクルに影響します。 なお、妊娠・出産による薄毛は一時的なもので、出産後半年から1年程度すれば元の毛量に戻ることが多く、心配の必要はありません。
※出典:スマート・ライフ・プロジェクト. 「女性ホルモンとうまく付き合っていくには?〜増える月経トラブルとその対処法を基礎から知ろう〜」. https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/womens_health/2021/lecture1
FAGAの対策や治療方法
FAGAは生活習慣を正したり、栄養バランスの取れた食事の摂取をしたりなどの対策があるものの、特に重要なのは早期の治療です。FAGAは進行性の疾患のため、治療を早く開始するほど進行を遅らせるだけでなく根治もしやすくなります。 進行性のため放置すれば薄毛が悪化し、自然治癒することはほとんどありません。
FAGAの治療ではスピロノラクトン・ミノキシジルが使われる
FAGAの治療は、スピロノラクトンという成分を含んだ薬剤とビタミン・ミネラル類の補充により行います。スピロノラクトンは元来は利尿剤ですが、抗アンドロゲン(男性ホルモン)作用がある薬になります。女性の場合AGAのようにフィナステリドの使用ができないので、この薬を用います。
その他、AGAと同様にミノキシジルも用います。 毛根を活性化させ、毛を太くすることで 薄毛を改善する作用があります。 治療開始後、効果が現れるまでには、半年から1年程度の期間が必要です。 なお、スピロノラクトンや ミノキシジルは医薬品のため、利用したいときは医師の処方が必要です。副作用のリスクもあるため、治療をするときは専門の医療機関に相談するのをおすすめします。
FAGAが疑われるときはすぐに専門医療機関 に相談しよう
FAGAは女性男性型脱毛症のことで、男性のAGAのように頭髪の一部分が薄くなるのではなく、全体的に髪の毛が細く薄くなる点が特徴です。FAGAは女性ホルモンの乱れが原因とされるため、加齢や自律神経の乱れにより発症しやすくなります。
なお、FAGAは進行性の疾患であり自然治癒も難しいため、早期治療がなによりも大切です。FAGAと疑われる症状があるときは、早めに専門医療機関に相談しましょう。
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