公開日:2025.08.25 更新日:2025.08.25
デュタステリドとは?男性型脱毛症(AGA)に対する治療効果や服用時の注意点を解説
生え際が後退してきた、頭頂部のボリュームが減ってきたといった薄毛の悩みの解決策として、近年注目されているのがデュタステリドと呼ばれる治療薬です。
デュタステリドは日本皮膚科学会がまとめたガイドライン上で、男性型脱毛症(AGA)治療において使用が推奨されている薬です。しかし、同じくAGA治療薬のフィナステリドに比べると新しい薬であるため、どのような薬なのか、どのくらいの効果を期待できるのか、疑問に思っている人も多いでしょう。
本記事では、デュタステリドの基礎知識や薄毛にアプローチする仕組み、主な治療効果、服用時の注意点、入手方法などについてまとめました。薄毛治療にデュタステリドを選ぶかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
Contents
デュタステリドとは、内服タイプのAGA治療薬
デュタステリドとは、イギリス・ロンドンに本社を置く世界的な製薬会社グラクソ・スミスクライン社が開発した、内服タイプのAGA治療薬です。元は前立腺肥大症の治療薬として開発・製造された薬ですが、後述するフィナステリドと同じく、AGAに対する治療効果が認められたことから、近年はAGA治療薬として使用されることも多くなりました。
日本では、デュタステリドを主成分とする医薬品として「ザガーロカプセル」が2015年に正式にAGA治療薬として認可(※)されており、育毛外来やAGAクリニックなどで処方を受けられます。
※参考:厚生労働省.「○新医薬品として承認された医薬品について」,(2015-09-28).
※参考:厚生労働省.「○ザガーロカプセル0.1mg及び同0.5mgの医薬品医療機器法上の承認に伴うアボルブカプセル0.5mgの留意事項について」,(2015-09-28).
デュタステリドが薄毛にアプローチする仕組み
デュタステリドは、AGAの主な原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を防ぐことで、薄毛にアプローチする仕組みの薬です。
DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが5-α還元酵素によって変換させられたものです。髪の成長に関わるヘアサイクル(毛周期)のうち、成長期を短くする作用があるといわれています。
デュタステリドは、テストステロンをDHTに変換する5-α還元酵素の働きを阻害する作用があり、DHTの産生を予防する効果が期待できます。
デュタステリドに期待できる効果と実感までに要する期間
デュタステリドを服用した場合に期待できる効果は大きく分けて2つあります。
- 抜け毛の減少
- 髪質の改善
人のヘアサイクルは成長期・退行期・休止期の3つの時期に分かれており、通常は成長期が長い期間を占めています。しかし、AGAを発症すると、DHTの影響で成長期が短縮されます。その結果、毛髪が十分に育つ前に抜け落ち、細く短い毛が増えてしまうのです。
デュタステリドを服用すると、DHTによって乱れたヘアサイクルが徐々に整い、抜け毛の減少が期待できます。さらに、ヘアサイクルの成長期が確保されることで毛髪が太く丈夫に成長し、髪全体のボリュームアップにつながります。
実際、日本国内で実施された52週間の臨床試験では、男性被験者に毎日0.5mgのデュタステリドを投与したところ、直径30μm以上の非軟毛数が13.5/cm²、硬毛数が15.2/cm²、非軟毛直径が6.5nm増加したとの結果が報告されています(※)。
なお、デュタステリドと同じ5α-還元酵素阻害薬としては、フィナステリドが有名です。フィナステリドが5α-還元酵素の2型のみに作用するのに対し、デュタステリドは1型・2型の両方に作用するため、より高い効果が期待できるといわれています。
また、デュタステリドは半減期(投与された薬の血中濃度が半減するまでの期間)が3〜5週間と比較的長く、体内にとどまりやすい薬です(※)。そのため、肝機能障害のある人に対しては、慎重に投与した方が良いとされています。
※参考:公益社団法人 日本皮膚科学会.「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」.”p6”,(参照2025-6-25).
※参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構.「ザガーロカプセル0.1mg ザガーロカプセル0.5mgに関する資料」,(参照2025-07-07).
デュタステリドの効果を実感できるまでにかかる期間
デュタステリドの服用を開始してから、効果を実感できるようになるまでにかかる時間には個人差があるため一概に「◯カ月後に効く」とはいえません。
ただし、6カ月の観察期間を経て効果の検証を行っている臨床試験があることから、少なくとも6カ月は継続して服用し、効き目の有無を判断した方が良いでしょう。
デュタステリドの副作用と注意点
デュタステリドはAGA治療に効果が見込まれる薬の一つですが、副作用には注意が必要です。
副作用は必ず現れるわけではありませんが、用法・用量を守らずに服用すると発症のリスクが高まります。医師の指示の下、正しい方法で服用するこが大切です。
ここではデュタステリドの副作用や、服用時の注意点について解説します。
デュタステリドの副作用の症状と発症率
デュタステリドを用いた国際臨床試験では、1日0.5mgの服用で、性欲減退と射精障害がともに3.3%、インポテンツが5.4%確認されています(※)。他にも、少数ですが初期脱毛や乳房圧痛・肥大、気分の落ち込み、じんましんなどの症状が現れた事例が報告されているようです。
また、重篤な副作用として肝機能障害が起こった事例も報告されています。性機能不全以外の症状の多くは発症率が1%未満ですが、前述したように誤った服用を続けた場合は副作用の発症率が高くなることが予想されるため、注意が必要です。
※参考:公益社団法人 日本皮膚科学会.「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」.”p6”,(参照2025-6-25).
デュタステリドを服用できない人
デュタステリドはAGA治療に有効な薬ですが、誰もが服用できるわけではありません。特に以下の条件に該当する人は服用できないため、あらかじめ注意が必要です。
- 肝機能障害を患っている人
- 女性
- 子ども
- 特定の医薬品を服用している人
- 5α-還元酵素阻害薬に対し過敏症のある人
デュタステリドは肝臓で代謝されるため、肝機能障害を患っている人が服用すると十分な代謝が行われず、血中濃度が上昇する恐れがあります。
また、デュタステリドはAGA(男性型脱毛症)治療に推奨されている一方、FGA(女性型脱毛症)には内服療法を行うべきではないとされています。ラットやウサギを用いた実験では雄の胎児の外生殖器に雌性化が見られた事例が報告されており、人の場合にも同様の事象が起こる可能性が示唆されているためです。そのため、妊娠中や授乳中の女性が誤って服用しないよう注意する必要があります。
さらに、デュタステリドは成人男性用の薬であることから、子どもは服用できません。実際、これまで子どもを対象にした臨床試験は行われておらず、有効性や安全性は保証されていません。もし子どものいる家庭でデュタステリドを服用する場合は、子どもが誤って服用しないよう、取り扱いに十分注意しましょう。
さらに、肝臓や小腸に多く存在する薬物代謝酵素の一種である「CYP3A4」を阻害する薬(リトナビルなど)を服用している人は、デュタステリドとの併用に注意が必要です。CYP3A4は薬物の代謝に関わる酵素であり、併用するとデュタステリドの代謝が阻害されて血中濃度が上昇するリスクがあるといわれています。
また、5α-還元酵素阻害薬に対し過敏症のある人は、再びアレルギー反応が出る可能性があるため服用できません。
以上のような注意点は、デュタステリドが処方された際に医師や看護師から説明を受けるため、分からない点や不明点がある場合はその場で質問しましょう。
デュタステリドの用法・用量
デュタステリドを服用する際は、用法・用量に注意が必要です。
デュタステリドは原則として毎日服用します。ただし、前日に飲み忘れた場合に、2日分をまとめて服用することはできません。デュタステリドをAGA治療薬として服用する場合、用量は1日1回0.1mgまたは0.5mgです。
1日の用量を超えて服用すると副作用のリスクが高くなる恐れがあるため、用法・用量はしっかり守ることが大切です。
デュタステリドの入手方法
デュタステリドは医師の処方箋が必要な医療用医薬品であるため、入手するには育毛外来やAGA専門クリニックを受診する必要があります。なお、AGA治療は保険適用外であり、診察費や検査費、処方薬代は全て自己負担となる点に注意しましょう。
デュタステリドは毎日服用し続けるものであるため、コストがかさむのは辛いところです。しかし、個人輸入代行業者が取り扱っているデュタステリドをインターネット通販で購入するのはおすすめできません。なぜなら、デュタステリドには偽造薬が流通しており、購入した薬が偽物である可能性もあるためです。偽物を服用すると、単純に治療効果を得られないだけでなく、配合されている成分によっては健康被害が生じるリスクもあります。
以上の点から、多少の手間やコストがかかったとしても、医療機関を受診し、医師から処方されたデュタステリドを服用する方が得策だといえるでしょう。
デュタステリドはAGAに高い効果を発揮する
デュタステリドはAGAの主原因とされるDHTの生成を阻害する作用があり、継続して服用することで抜け毛の防止や髪質の改善が期待できます。
ただし、デュタステリドは医療用医薬品であり、副作用のリスクもあります。医師の指示の下で処方を受け、用法・用量を守って正しく内服しましょう。
コラム
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