フィンペシアに副作用や禁忌はある？服用時の注意点を解説

男性の薄毛の原因は、ほとんど男性型脱毛症（AGA）によるものとされています。フィンペシア（Finpecia）は、インドの製薬会社Cipla社製造の薬剤の商品名になります。フィンペシアはプロペシアやプロペシアジェネリックと同じく、フィナステリドを含有しており、プロペシアと同様の効果を見込めます。

日本国内では承認されていないものの、一般的に、フィンペシアはプロペシアのジェネリック医薬品の位置付けです。 AGAの進行を遅らせるフィナステリドが含まれるため、薄毛や抜け毛などの症状改善が期待できます。

しかし、フィンペシアには副作用や禁忌があるため、注意が必要です。 本記事では、フィンペシアの副作用や禁忌、内服時の注意点を分かりやすく解説します。

フィンペシアの内服で起こりうる副作用

フィンペシアは、男性に多いAGAの進行を抑えられる治療薬です。AGAの原因物質の一つである5α還元酵素の働きを妨げ、抜け毛を引き起こすDHT（ジヒドロテストステロン）の産生を抑制する効果が期待できます。

しかし、フィンペシアには副作用も存在します。フィンペシアに含まれるフィナステリドには、以下のような副作用が報告されています。

皮膚のかゆみや蕁麻疹、乳房の痛みや肥大など、さまざまな副作用が報告されている中で、特に注意したいのが以下の3点です。

• 肝機能障害
• 勃起不全
• 精液減少

ここでは3つの副作用を紹介します。

フィンペシアを内服した場合、代謝の過程で肝臓に負担がかかり肝機能障害を起こす可能性があります。 肝機能障害のある人への安全性は確認されていないため、服用の際に注意しましょう。

勃起不全

勃起不全（ED）や性欲減退など、男性機能の低下が見られる場合があります。フィンペシアに含まれるフィナステリドは、前述のとおり、5α還元酵素の働きを阻害する成分です。その過程で男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン（DHT）が減少するため、勃起不全などの副作用が起きる可能性があります。 勃起機能不全や性欲減退などの症状は、フィナステリド製剤の内服を中止した後も持続した症例もあったと言われています。

精液減少

発症頻度は明確ではありませんが、フィナステリドを投与することで、精液の減少や質の低下などの副作用が起きる可能性があります。そのため、妊活中にフィナステリド製剤を内服するのは推奨されていません。

一方でフィナステリド製剤の内服を中止することで、精液の質が正常化されたという報告があります。 このようにフィンペシアには、肝機能障害、勃起不全、精液減少などの副作用のリスクがあります。1日1mgが上限となりますので、用法用量を守り、異常が発生した場合は内服を中止することが大切です。 

フィンペシアの禁忌とは？内服できない人や使用上の注意点

他のAGA治療薬と同様に、フィンペシアにも禁忌（内服してはいけない人や、内服時にやってはいけないこと）が存在します。 フィンペシアの主成分であるフィナステリドについて、以下のような禁忌が記載されており、該当する方は内服できません。※ 禁忌（次の患者には投与しないこと）

1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2. 妊婦または妊娠している可能性のある婦人および授乳中の婦人

ここでは、フィンペシアの禁忌や使用上の注意点を分かりやすく説明します。

妊娠・授乳中の女性や20歳未満の方は内服できない

フィンペシアは過去に過敏症状を発症した方や、妊娠中または授乳中の女性は服用できません。また、20歳未満への安全性が確認されていないため、20歳未満が服用するのもNGです。 特に妊婦の方が誤ってフィナステリド製剤を服用した場合、胎児の生育に影響を及ぼす可能性があります。

フィンペシアは男性型脱毛症の治療薬です。女性や20歳未満が誤って服用しないよう、他の医薬品と保管場所を分けることをおすすめします。

フィンペシアにキノリンイエローは含まれているのか？

現在、フィンペシアにはキノリンイエローは含まれていません。以前は、フィンペシアにはコーティング剤としてキノリンイエローWSというタール色素が使用されていましたが、その後の情報によれば、この成分は体に害を及ぼす可能性があるとの噂が広まりました。特に欧州では、子供の注意欠陥や多動性障害の症状が増加するという懸念から、キノリンイエローを含む合成着色料に対して自主規制が行われました。

シプラ社（フィンペシアの製造元）はこの噂が売上に影響を及ぼす可能性があると判断し、現在流通しているフィンペシアの包装箱には「Quinoline Yellow Free」という表記があります。これはキノリンイエローが使用されていないことを示しています。 ただし、この表記があるからといって100%本物であるというわけではありません。偽造品も存在する可能性があるため、安心して内服するためには信頼できるところから入手することが重要です。

プロペシアと併用しない

フィンペシアと並んで、人気の高いAGA治療薬にプロペシアがあります。原則として、フィンペシアとプロペシアの併用は推奨されていません。 プロペシアは、フィンペシアと同じフィナステリドを含む治療薬です。フィンペシアとプロペシアを併用すると、通常の用量を超えてしまい副作用が強まる可能性があります。

他のAGA治療薬と併用したい場合は、作用機序が異なるミノキシジルがおすすめです。 ミノキシジルは、頭皮の血管を拡張し、栄養を供給しやすくする治療薬です。フィンペシアとミノキシジルを併用する場合、作用がそれぞれ異なるため、医師の処方の元で使用しましょう。

グレープフルーツやアルコールと一緒に摂取しない

フィンペシアの飲み合わせで注意が必要なのは、グレープフルーツを含む食品とアルコール飲料の2つです。グレープフルーツに含まれる酵素には、フィナステリドの分解を阻害する効果があります。

そのため、フィンペシアと一緒にグレープフルーツを摂取すると、フィナステリドが分解されず副作用が強まる可能性があります。 またフィナステリドは肝臓で代謝される成分です。アルコール飲料と一緒に摂取すると、肝臓に負担がかかり、肝機能障害などの副作用が出やすくなります。

フィンペシアを内服する際は、グレープフルーツやアルコール飲料との飲み合わせを避けましょう。

個人輸入には要注意！医薬品副作用被害救済制度の利用はできない

フィンペシアを入手する方法は、国内では個人輸入しかありませんが、この方法では偽物に遭遇する可能性があります。大手製薬会社4社による2016年の偽造ED治療薬調査では、個人輸入したED薬の約40％が偽物であったと報告されています。

さらに、万が一重篤な副作用が発生した場合でも、医薬品副作用被害救済制度などの公的な制度を利用することはできません。したがって、自己責任で対処しなければなりません。そのため、医師でも一般の方でも、個人輸入でしか手に入れることができないフィンペシアを入手する行為自体が、自身の身体に危険を及ぼす可能性があるため、慎重に考えることが賢明です。

また、ミノキシジルタブレットを個人輸入などで入手し、フィンペシアと併用することを考える人もいますが、注意が必要です。ミノキシジル内服薬はFDAや日本の厚生労働省からは承認されていません。一方、リアップやロゲインなどのミノキシジルを含む外用薬は、日本と米国の両方で認可されています。従って、ミノキシジルと併用する場合は、医師の処方の元で使用するようにしましょう。

内服方法

フィンペシアの使用方法はプロペシアと同じです。内服する場合は正しい方法で服用してください。 以下は使用の指針です。

• 1日に1回内服します。内服間隔は24時間が望ましいです。
• フィンペシアは円形脱毛症や化学療法、放射線治療による脱毛症には効果がありません。
•  女性の内服は禁忌となっています。内服しても効果がないだけではなく、体に有害となります。
• 効果を確認するには最低でも3ヶ月以上の内服が必要です。
• フィンペシアを内服中に前立腺がんの検診を受ける場合は、必ず担当医に内服していることを伝えてください。
• 内服中の献血はしないでください。フィンペシア（フィナステリド）を含む血清成分が女性に輸血を通して入る可能性があるためです。内服を中止し、1ヶ月以上休薬した後であれば献血が可能です。

※出典：厚生労働省. 「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html

フィンペシアの副作用や禁忌を理解して適切なAGA治療を受けよう

フィンペシアは、5α還元酵素の働きを阻害するフィナステリドを含むAGA治療薬です。フィンペシアには、副作用や禁忌、使用上の注意点があるため必ず確認しましょう。

例えば、過去にフィナステリドを内服して過敏症状が出た方や、妊娠中または授乳中の女性はフィンペシアを内服できません。 フィンペシアを内服する場合は必ず医師の処方を受け、用法用量を守りましょう。